こちらの記事の続き。
アニメエグゼ第3作のStreamについては独立にまとめたので、ここでは第2作のAXESSと第4作のBEASTについてまとめていく(第1作の無印はクロスフュージョンの導入前であることやアニログの無料公開もあること、第5作のBEAST+は10分アニメであくまでオマケの感が強いことから、それらについては割愛)。
アニメエグゼ全体の評に関してもStreamまとめの方で書いたので割愛。
ロックマンエグゼAXESS
第1作の無印に続くアニメロックマンエグゼシリーズの第2作。エグゼ3とエグゼ4(特にエグゼ4)をベースにしている。放送開始がエグゼ4の発売前であり、いくつかの要素が原作からフライング登場していたのも特徴。
なんといってもクロスフュージョン(人間とネットナビの融合による実体化戦闘)の導入はこのシリーズから。無印の時点でアニオリ要素のかなり多いアニメ化ではあったが、ここからが本当の超絶アニオリの始まりである。OPの「二つの未来」もStreamのBe Somewhere に次いで有名な曲であり、「新生感」「新章感」を強く感じさせる。二つの未来はAXESS劇中でアレンジが流れる回数が非常に多いだけでなく、Stream以降でもアレンジが流れ続けBEAST+ではインストも久しぶりに流れるなど、アニメシリーズ全体のメインテーマに近い位置付けになっている。
クロスフュージョンの導入に伴い全体的な作風が無印から大きく変化しており(BGMの一新、惜しみなく出てくるレアチップ、事件進行のテンポの高速化など)、玩具展開と連動しつつ大量のアニオリ設定が常に押し寄せてくる設定厨アニメ・SFアニメの様相を呈し始めるのもここから。クロスフュージョンほど有名ではないが実体化戦闘の前提条件であるディメンショナルエリアも後のシリーズまでずっと擦られ続ける。
一方で(少なくともAXESSの時点では)クロスフュージョン一辺倒だったわけではなく、原作エグゼ4のロックマンの新規変身要素であるソウルユニゾンをきちんと12種全て登場させている。ソウルユニゾンはロックマンの変身要素でクロスフュージョンは熱斗の変身要素なので最終回を除き同時発動することはなく、クロスフュージョンとソウルユニゾンの二本柱と言うべき構成になっている。
それでいて変身要素を「単に出しているだけ」ではなく、少なくとも前半2クールのソウルユニゾンは発現に至るまでのドラマに総じて気合が入っているのが特徴。人間への殺意が高いダークロイドという敵に日常の積み重ねが生み出す力であるソウルユニゾンで立ち向かう構図の熱さ、使用可能バトルチップに枚数制限のある初期クロスフュージョンの緊張感、ダークブルース関連のシリアスなど、仄暗い雰囲気が漂う中で閉塞を打ち破る変身要素のカッコよさを魅せようとする意志の強さはStream以降と比較しても光るAXESS特有の魅力だと思う。
以下、印象的だった話数を個別に。
(※結末までのネタバレを含みます)
・1話「クロスフュージョン!」
クロスフュージョンの原点にして一つの頂点。これが「アニオリ新章の第1話」であることに大きな意味があると思う。
「対策必須の未知の技術(=衛星及びディメンショナルコンバーターを用いた電脳存在の実体化)を持つ未知の敵」及び、「それに対抗できる未知の変身(シンクロチップ・クロスフュージョン)の異質感と爽快感」を新章1話から余すことなく示したことの意義。
実際のところ、ポケモンとトレーナーが融合するとかスタンドとスタンド使いが融合するといった発想自体は別に珍しいものではない。黒歴史で名高いポケモンReBurstもそうだ。だから「無印で1年普通にエグゼをやった後の新章1話からこれを始める」ことに大きな意味があった。
無印と同様にまずこのシリーズの基本は電脳世界を舞台にしたネットナビ戦闘であるという前提を改めて提示した上で、その前提を覆し主人公サイドを上回る技術で現実世界に出てくるダークロイド(戦うのは因縁深いビーストマンだが大ボスのシェードマンの顔見せも1話で行う)の到来。そんな未知の敵に対抗するための力として周りの制止を振り切り主人公が選択するのがクロスフュージョンという原作に存在しない未知の変身、それだけじゃなく今までの物語で一緒に歩んできた二人の力を合わせているから一人の時よりずっと強くなってるんだという文脈バフ(ロックマン単独で苦戦したビーストマンをCF初戦にも関わらずバスターだけで逆に圧倒してしまう)。
クロスフュージョン戦闘で流れる二つの未来のインスト、初めてのCFで未知の危機を乗り切って緊張が抜けた顔でその場に倒れる熱斗の「やりきった主人公」感、そして何より敵サイドと味方サイドの双方で作り出した「世界が広がった感」。変身ヒーローの魅力の基本を思い出させてくれる1話と言えるだろう。
・4話「ソウルユニゾン!」
クロスフュージョンに劣らず気合いの入ったソウルユニゾン初登場回。
エグゼ2~3の変身要素のスタイルチェンジの喪失とエグゼ4~5の変身要素のソウルユニゾンの獲得、その両方を「クロスフュージョンの影響」で理由付けする筋の通し方。原作エグゼ4にもうっすらと存在したダークチップvsソウルユニゾンの対立構図の明確化。そしてソウル初共鳴キャラにヒロインのロールを選ぶ点にも現れた、「高い殺意と強大な戦闘力で日常を脅かすダークロイドに日常の積み重ねから得た力で立ち向かう」というAXESSのソウルユニゾン特有の文脈。
オペレーターを持たない純粋な電脳存在のためか総じてシリアスな空気が強く、単騎で社会に大きな混乱を与えることができるし、ダークチップでの自己強化を共通装備としている(このおかげで後のアステロイドより総じて強く見える)ことでロックマンにも対抗できるダークロイド。それと相対する中で自らの無力さを思い知らされた日常サイドのキャラがそれでもロックマンの力になろうとしたことがソウルの共鳴=ソウルユニゾンの発現を促し……のパターンがAXESS前半は多い(9話のガッツソウル、17話のメタルソウルも同様)。このパターン以外にも様々な吊り橋効果を味わうことができる。
原作エグゼ4のロールソウルの回復能力が「敵の攻撃を吸収して回復する」ドレイン能力にアレンジされており、最初のソウルユニゾンに相応しいインパクトある強さなのも良い。アニメ版ソウルユニゾンは一度発現すればソウルチップ化しオペレーターの任意で使えるようになるため、ロールソウルはこのフラッシュマン戦の後もボウルマン戦やニードルマン戦で活躍するものの、強すぎるためかその後は殆ど出なくなってしまうが……。
・7話「電子の花園!」
無印でヒートマンに転生していたファイアマンの復活&ファイアソウル発現回。原作エグゼ1でも無印1話でもロックマンの最初の敵だったファイアマンがロールに続く2番目のソウル共鳴相手になるのが熱い。無印のゴスペル編でファイアマンからヒートマンへの転生を何話もかけてじっくり描いたのに比べるとファイアマンの復活はあっさりだが、復活からの即共闘からのソウルユニゾンからのWファイアアームの流れが熱いし、プラントマンの強敵感や事件進行のテンポの良さなどAXESSの良さがよく現れた回だと思う。
ダークロイドとしてもアステロイドとしてもゾアノロイドとしても序盤で登場して毎回1話退場することで有名なプラントマンだが、水属性チップやダークチップで不利な炎属性(ヒートマンや炎チップ使用のロックマン)相手でも圧倒してくる最初のこのダークロイド個体が一番強く見える。シェードマンからも「趣味の園芸もここまで来れば立派な世界征服だな」と評価されている(?)
・17話「強襲ビーストマン!」
1話でも戦ったダークロイド個体のビーストマンとの決着回。新ソウルユニゾン発現とクロスフュージョン戦闘が両方ある回は珍しい。
日常に割り込んできてその脆さを嘲笑う(メタルマンがロックマンを庇うために繰り出した、本来はロックマンとの正々堂々バトルのために用意していたオペレーターとの修行の証の新技が効かない)ダークロイドに、「見せてやる、これが絆の力だ!」を自然な流れで出来るソウルユニゾン。心と引き換えに得た(=ダークチップ)圧倒的な敵の力を、二人で一人の力で超えていく文脈ができるクロスフュージョン。それぞれの良さがよく出ており全体的に熱い流れ。1話と同様クロスフュージョン戦闘決着時に流れる二つの未来のインスト、節目を乗り越え疲れて眠る熱斗のやり切った感が好き。
・27話「決戦!ネビュラ基地」&28話「揺れる心」&29話「炎山vsブルース」
AXESS中盤の折り返し地点となる最大の佳境、ブルースと炎山の物語の始まり。
27話はとにかく1話の密度が凄い。黒幕の正体=Dr.リーガルを突き止めてそのアジトに乗り込む展開であるにも関わらず、リーガル(と持ちナビのレーザーマン)及び原作エグゼ4と違いリーガルと決裂したシェードマンの強大な戦闘力や謀略に圧倒され続け、最後はダークチップを使って船の電脳のシェードマンを撃退しなければ全滅という状況に陥る。
明確な格上のシェードマンを撃退するためにロックマンがダークチップを使うしかないという展開、炎山がダークチップを使いブルースを失ってしまう展開。いずれも原作エグゼ4に存在したものだが、その二つを直列で繋ぎつつ(熱斗がロックマンにダークチップを使おうとしたのを阻んで炎山がブルースに使う)、ダークチップの影響で自我を失う直前にブルースがロックマンにソウルを託していく展開は要素の繋げ方が上手いとしか言いようがない。
OPに映っているもののこれまで引っ張り続けてきたブルースソウルが発現するタイミングとしてこれ以上のものはないし、闇堕ち展開をやりつつ炎山もブルースも格が下がらない。この回はそれまでDr.リーガルやシェードマンの謀略に翻弄される展開が続いていたのが、最後の最後で味方にも敵にも予測不可能な「感情の力」の具現化で一糸報いる。ソウルユニゾンの使い方としてこれ以上のものはない。
そしてブルースがいなくなってもロックマンがブルースソウルを使い続けていくこと(ソニックブームを撃てるバリアブルソードが標準装備というアレンジもある)、ブルースを失っても炎山から戦う気力が失われていないことが28話で示され、29話では熱斗と炎山のいかにも男の子の友情っぽい殴り合いと本音のぶつけ合いの後、いよいよダークロイド化しDr.リーガルの尖兵になったブルース相手でも炎山がネットナビ無しで渡り合っていけてしまう展開。
ここからの炎山はクロスフュージョン戦闘はおろかネットナビ戦闘すらできなくなったのにブルースがいた頃以上に活躍する凄まじい勇姿を見せる。クロスフュージョンという「二人で一人の新たな力」を導入したからこそ、二人で一人が全てじゃないことを証明するための必然の展開と考えれば極めて筋が通っている。
熱斗との信頼関係の描写にも気合が入っており(CF戦闘時のチップ枚数制限を解決するため新たに開発されたバトルチップゲートで炎山がCFロックマンのオペレーターのようなポジションになるなど)、全体を通して基本的にテーマ性は薄くエンタメに振っているエグゼ全体を通しても、AXESS後半の炎山・ダークブルース関連は異色の存在感を放つ出来になっている。
・46話「ネット警察大攻防戦!」
原作エグゼを彷彿とさせる終盤のボスラッシュ回。これまでにデリートしてきたダークロイドが復活し大挙して押し寄せ、これまでに会得したソウルユニゾンをソウルチップで次々と切り替えて戦う。
基本的にダークロイド軍団は尺の都合でワンパン再デリートされるのだが、色んなダークロイドや色んなソウルユニゾンの戦闘が久しぶりにテンポ良く見られるのはやはり楽しい。エグゼ4のソウルユニゾンをちゃんと出してきた意味も感じられる。リーガルの衛星の座標を特定するミッション遂行中の炎山を熱斗とライカが守るための戦いという構図も良い。
・49話「さらばブルース」
ダークブルース決着回。
敵側の最高戦力と化したブルースからダークオーラを取り払うために味方側のキャラが総力を挙げる展開、新たに開発されたワクチンチップを駆使した熱斗(CFロックマン)の死闘と目論見通りにいかない絶望感、相棒を正気に戻すべく精神世界に入るために使われるクロスフュージョン、二つの未来のインストを流しながらのブルースの精神世界での炎山の「どんな姿になろうとも、どんなに心が穢れても……ブルース、お前は俺のナビだ」。
1話・17話と似た「重要な節目を乗り切り、満足した顔で疲れて倒れる」熱斗。ブルースが戻ってきたことで、微笑を浮かべながら目を閉じて壁に背中を預ける炎山。暗闇に朝日が昇る演出と、静かな「やりきった感」がとても良くマッチしている。
・51話「光とどく場所」
ED「光とどく場所」の曲名をそのままサブタイに持ってくる、身体への負担が大きいからと止められていたクロスフュージョンとソウルユニゾンの重ねがけをついに使う、主人公vsラスボスがCFvsCFで5枚のソウルチップvs5枚のダークシンクロチップという構図、そこへさらに原作変身要素のフルシンクロも重なる、二つの未来が実質メインテーマなだけあって最終回でOP流すやつをシリーズで唯一行う、ラスボスの巨大CFレーザーマンを1話のビーストマン戦と同様にチャージショットで倒す。王道まっしぐらの最終回。
クロスフュージョンとソウルユニゾンの二本柱をしっかりやってきたからこその到達点が見てて心地いい。サーチマンがロックマンに次ぐポジションで活躍しているのもライカがまだクロスフュージョンを会得していないからこそという感じがする。あとレーザーマンとかいう公募キャラがまさかのアニメラスボス務めてる(原作エグゼ4でも大ボスポジションではあるが)こと自体が面白い。
前話でCFロックマンを圧倒してたのに冒頭でCFレーザーマンのかませにされグロ死してしまった(かに思われた)シェードマンの名誉挽回、AXESSでは未回収で終わったゆりこやデューオ関連の伏線回収はStreamを待たなければならないが、AXESSだけで見てもやはり全体を通して「未知の変身要素のカッコよさと文脈」を魅せることに余念のないアニメだったと思う。あとやはり王道にも鬱寄りにもマッチする二つの未来の汎用性が高すぎる。
ロックマンエグゼBEAST
無印・AXESS・Streamに続くアニメロックマンエグゼシリーズの第4作。エグゼ6をベースにしているが、2クールしかないことやBEAST+の存在もあって未登場のエグゼ6キャラも多く、その代わり過去作要素の再登場に気合が入っているためStreamに続いてシリーズの総決算感が強い。
全体としてはStreamよりAXESSに近い雰囲気で、劇中の情景も全体の雰囲気も荒涼としたシリアス寄りの作風。というかStreamの微妙だった点(アステロイドがダークロイドの使い回し感強すぎる&戦闘力が低い、クロスフュージョンに寄せすぎてネットナビの存在感が薄い、いらない回が多い、戦闘の作画が死んでる)を全体的に改善している。
ビヨンダードと呼ばれる荒れ果てた並行世界からやってきた新たな敵のゾアノロイド、その背景にあった獣化因子の設定はStreamのアステロイド関連に劣らず練られている。全体として原作変身要素の獣化に重点を置きつつ後半のビヨンダード編ではCFなしでネットナビそのものが実体化するなど、熱斗よりロックマンの活躍が中心に描かれる中で、ここぞという時にだけ出てくるクロスフュージョンもむしろ当初の異質感・爽快感を取り戻しているように感じる。
以下、印象的だった話数を個別に。
・2話「ゾアノロイド」
アステロイドに続くアニオリの○○ロイド、電脳獣の配下のゾアノロイドがいかなる存在かを提示してくる回。
最初のゾアノプラントマンとゾアノスパークマンはまたしてもダークロイドの使い回しだが、異世界(ビヨンダード)出身の並行同位体であるためこちらの世界の詳細を知らないこと、同じゾアノロイドでもグレイガ陣営とファルザー陣営で互いに対立していること(エグゼ6要素)、そして何より原作エグゼ6ではロックマンだけの能力だった獣化を共通装備で使ってくることで「異質感」をふんだんに出してくる。
全てのゾアノロイドが獣化能力を持つとは言ってもパッと見でよくわからない程度の小さなアレンジが大半だが、これにより未知の獣化デザインの楽しみや敵の不気味さが確保されている。
・6話「ネットナビ改造計画」
ゾアノファラオマンの恐ろしさが印象的な回。
ゾアノロイドはアステロイドとの被りをある程度避けるためか、パンク・フレイムマン・ダークマンといったこれまでのシリーズで出しそびれたボスをゾアノロイド初出で出してくるのに加え、過去作由来でも特に無印のボスから意外な人選をしてくる傾向がある。その筆頭が無印のエグゼ1編の大ボスで、ロックマンを一度デリートさえしたファラオマンのゾアノ化だろう。
ロックマンたちの強さがインフレしたのもあってか、無印当時のファラオマンほどの強さは感じさせないものの、民間のナビを不可視のピラミッド型空中要塞に拉致し謎の棺桶でグレイガ軍の兵士に改造する(ファルザー側ゾアノロイドのゾアノスパークマンさえナビマークを書き換えてグレイガ側に改造してしまう)能力の恐ろしさ、実体化戦闘でCFロックマンに敗北してもコピーロイドを乗り捨てて電脳空間に逃げ帰る狡猾さなど、無印のファラオマンとは異なる方向性で大物感を出すことに成功している。
そんなゾアノロイドに立ち向かうロックマンの新たな変身能力である(シンクロナイザーのトリル由来の)獣化もまた暴走を伴う力であり、総じてスタイリッシュだが荒涼としたBEASTの雰囲気を感じさせる。
・9話「氷の心」
BEASTで最も有名で人気が高いと思われる回。
Stream19話の「幸せを呼ぶ爆発」がアステロイドと友情を育んでしまう話だったのと同じように、今回はゾアノロイドと友情を育んでしまう話である。ここにきて無印以来のアイスマンメイン回で、無印ではゴスペルの最高幹部ということ以外特に個性のなかったフリーズマンが氷系ナビ繋がりで抜擢された結果、忍殺のヤモトとシルバーカラスのような儚い関係性を構築してしまうアイスマンとゾアノフリーズマン。相変わらずどこから湧いてきた発想なのか分からな過ぎて凄いが、それでちゃんと感動回にできてしまうのも凄い。
ファルザー側のゾアノフリーズマンを追いかけてデリートしようとするグレイガ側のゾアノストーンマンという筋立てもゾアノロイドの設定が活かされてるし、ゾアノフリーズマンがアイスマンに遺した通信機が後の展開で主人公サイドに活用されるのも良い。
・16話「料理は愛情」
個人的にBEAST後半のビヨンダード編で最も好きな回。
エグゼ6グレイガ版の味方キャラであるパクチー&スラッシュマンをビヨンダードの住人として登場させる……までは分かるが。同じエグゼ6キャラではあるもののパクチーとは何の関係もない熱斗のクラスメイトの悪ガキキャラだったコジローを「パクチーお姉ちゃんの隣で戦う熱斗に嫉妬するショタ」として出す、相変わらずの超采配。コックとして勤めていた豪華客船と乗客をゾアノロイドの襲撃で失いコジローの村に流れ着いた(ことから激しい復讐心を抱える)パクチーのやたらシリアスな過去。ホエールマンとかいう無印の謎のアニオリかませナビがなんかゾアノ化してシリアス面してる面白さ。
そしてBEAST1話でクロスフュージョンに追加されたジェットバーニアによる飛行能力を活かし、時間制限付きだがネットナビが実体化できるビヨンダードであえてクロスフュージョンを選択し、ビヨンダードでのクロスフュージョン特有の身体へのダメージに耐えながら海上のコジローを助けに行く熱斗。その後のパクチー&スラッシュマンの仇討ちも含め、無茶苦茶やりつつちゃんと決めるところは決めてくれるところが良い。
・25話「光を超えて」
AXESS最終回の「光とどく場所」からの「光を超えて」のサブタイが感慨深い最終回。
ディメンショナル○○・シンクロナイザー等の伏線回収や既存SF要素を総動員して黒幕(ビヨンダードのDr.ワイリー)が世界に撒いた獣化因子を消す方法を示しつつ、作画がイマイチだった前作ではほとんど見られなかったStreamキャラのちゃんと動く戦闘シーンも見られ、それでも歯が立たないラスボスを最後の最後で逆に圧倒する新規変身要素。アニメエグゼの全てである。
総力戦感・集大成感もあるが、何よりも最後のクロスフュージョンである。BEAST後半のビヨンダード編ではほとんど使われなかった(使う必要がなかったしデメリットも設定されていた)クロスフュージョンを最後の最後で、状況の解決もあるがそれ以上に、取り込んだシンクロナイザーの暴走に苦しむロックマンを助けるための賭けとして、周りの制止を振り切って選択する熱斗。
AXESS最終盤の炎山もStream最終回のバレルもそうだったが、クロスフュージョンは単に戦闘手段というだけでなく「結んだ絆の証」「わかり合いの手段」でもあるという文脈をここにきて主人公が体現する。その結果、原作ゲームだけでなくアニメでもこれまで見せたことのなかった白い獣化スタイルとなる。
アニメ・ゲーム通してのエグゼシリーズ最終フォームであり、正真正銘ここでしか見られない獣化クロスフュージョン。ビヨンダードのDr.ワイリーが乗り移った超電脳獣グレイザーもアニオリ(しばしば原作への逆輸入希望の声を見かける)であるため、主人公vsラスボスがアニオリ最終合体vsアニオリ最終合体という構図になっている。
からの「無言で圧倒」「一対一での真っ向からの撃破」。OPの勝利のうたのインストもここでしか流れない。「どうやって倒すんだ感漂うラスボスであっても新規変身が出たら逆に圧倒する」アニメエグゼの黄金パターン。まさに奇跡も魔法もあるんだよ精神と言うべきものではないだろうか。
AXESSのソウルユニゾン×クロスフュージョンと似た展開でありつつもさらに上を行った獣化クロスフュージョン。最後の最後までクロスフュージョンというアニオリの象徴を解決の鍵とし続ける意志。「光を超えて」のサブタイに恥じない出来だったと思う。